2016年3月20日日曜日

結婚式のビデオ撮影の持ち込みが『NG』とされた場合について

3月20日。
今年の桜は少し早そうですね。
来週予定の前撮りにうまくお天気とスケジュールが合うといいなぁと期待しています。

桜のつぼみ
(横浜:ロケハンの時はまだまだつぼみでした。)

持ち込みNGについて


さて本日は持ち込み撮影をテーマに書いてみたいと思います。
ウチキフィルムは『持ち込み』で結婚式を撮影する業者です。
お客様がウチキフィルムを見つけて選んで、会場へ持ち込んで頂いて、初めて成立しています。

近年は持ち込み自由を売りにする会場も徐々に増えてきていますので、そういう場合は問題なく話を進められます。
それでも、まだまだ持ち込みNGの会場や、『持ち込み料』を請求した上に制限だらけの会場も存在しています。
どうしてもウチキフィルムで!というお客様に交渉の末に持ち込んでいただく場合もあります。
そういう時は本当にありがたい気持ちでいっぱいになります。

それでも駄目なものは駄目!という会場もあります。
たとえそんな会場でも、ウチキフィルムとしては結婚式の会場は2人にとって素敵な思い出の場所であるべきだと考えています。
会場側との対立を煽ってまで持ち込んでいただくことには正直、抵抗があります。
だから、そういう場合には、しっかりと会場に慣れたカメラマンがお2人に配置されるように少しアドバイスをさせて頂いております。

会場提携の撮影会社のカメラマンについて


いろいろと言われることもありますが、会場提携のカメラマン・ビデオグラファーには素晴らしい技術・経験を持った人もいます。
そういうカメラマン・ビデオグラファーが会場スタッフ同士しっかりコミュニケーションをとり、経験に基づいて撮影する。
本当はそれが誰にとっても理想的です。

問題はそういう素晴らしいカメラマン・ビデオグラファーの人数が会場で一日行われる結婚式の数よりも少ないことにあります。
その会場に慣れた優秀な社員カメラマンだけで撮影しきれない結婚式は、会場提携と言いつつも、初めて会場にくる外注カメラマンだったり、学生アルバイトだったりが撮影することもよくあります。
提携業者の商品を注文したとしても、必ずその会場に慣れたカメラマン・ビデオグラファーが担当するとは限らないのが現実です。

これは繁忙期や件数が重なる日に特に顕著です。
当然ですが、優秀なカメラマン・ビデオグラファーは婚礼件数が増えたからといって、急に何処からか湧いて出て増えたりしないからです。
ウェディングの繁忙期は4月~6月と9月~11月です。
また件数が重なる日というのは、お日柄が良いといわれる大安や友引になります。

たとえば2016年、今年の6月だと
6月4日・土曜日・友引
6月5日・日曜日・大安
6月11日・土曜日・大安
6月26日・日曜日・友引
この4日で、挙式のご準備されている方でお写真や映像にこだわりたいというカップルは、持ち込みの撮影業者を一度検討してみても良いのかなと思います。
でも、撮影業者の持ち込みが出来ない会場で結婚式を挙げるカップルはどうすればいいのか?

で、本題です。


お日柄の良い日、たくさん行われる結婚式の中でその会場のエースクラスのカメラマンが配置されるのはどんな案件か?
撮影会社で働いていた経験から言えることを書きます。(あくまで個人の意見ですが…)

高い商品を頼むというのは正攻法ですね。
でも本当にカメラマンがいない上記のような日にはあまり確実ではないです。
そもそも価格に見合っているのかも疑問です。
たとえばビデオの商品で2人で撮ります!みたいな高額商品があります。
その場合、ギリギリ撮れるかな?という微妙なカメラマン2人を組み合わせて、2人いればなんとかなるだろう、という配置をされてしまうこともあります。

じゃあどうするか?
言い方は良くないかもしれませんが、少し面倒くさいお客様になって頂くことです。
具体的には、『要望が多く、確認を細かくするお客様』のことです。

『当日撮るカメラマンと打ち合わせがしたい!』
『進行表にはないけど、このシーンは自分たちが見られないシーンなので、映像で撮っておいてもらって後で見たい!』(受付とか披露宴入場前とか、中座中だったり)
『このアイテムはとても大事なので、絶対おさえて欲しい』などなど。
とにかくお写真や映像にこだわりがあることを撮影会社の打ち合わせ担当の人とプランナーに伝えておいたほうが良いです。
理想とする写真・映像があれば、それを担当の人と一緒に見てもよいかも知れません。
「プロにお任せします!」なんて言葉は気軽に言わない方が良いです。
本当にプロと呼べる人が当日を担当するとは限らないからです。

…会場提携の撮影会社には少し不都合な情報かもしれません。
でも、撮影者に欲しいイメージを伝えるお客様が増えることは良いことだと思っています。
そのことによって確実に撮影者のクオリティが上がります。
結婚式の撮影に関わるもの全員が、当たり前のように一組一組のお客様の要望を聞いて、しっかり応えられるようになること。
現状を見れば、あまりに非現実的ですが、そういう業界をつくるのはやっぱりお客様の声しかないのかなと思います。
そうすることでカメラマン同士の競争や切磋琢磨、淘汰が生まれてくるはずです。
だから、これから結婚式を挙げる人は撮影するカメラマンやビデオグラファーにご要望を伝えてください。
ご要望を伝えるために、本当に欲しい結婚式の写真・結婚式の映像について、まず自分たちで考えてみてください。
どんな映像だったら欲しいか、どんな写真が残っていたら嬉しいか。
そう考えることは結婚式を楽しむ一つの方法だと思います。

競争と淘汰。
結婚式にちょっと似合わない言葉ですが、その先にはちゃんとお客様とカメラマンの幸福があるんじゃないかな、と信じています。

最後に持ち込み自由な会場で挙式をされるお客様へ。


ウチキフィルムにお問い合わせの際は、是非ご要望をたくさん聞かせてください!
ご要望がなくても、何がベストか、どんなシーンが素敵だろうか?ということをお2人と一緒に考えたいと思います。
というわけでお問い合わせをお待ちしております。
どうぞ宜しくお願い致します。

ウチキフィルム 打木 健司
ウチキフィルムのホームページ

2016年3月14日月曜日

ウェディングハイライトの編集について

早いもので3月14日。
春に向けて、4月5月のウェディングのお客様の対応で忙しくさせて頂いております。
そんな中、昨日は以前ウチキフィルムで結婚式を撮影させて頂いたお客様のマタニティ撮影に行ってきました。
とても素敵な雰囲気の2人に再会し、とてもほっこりとした気分になりました。
後日、ムービーとお写真をサンプルとしてご紹介したいと思います。

マタニティーのサンプルムービー
(ご自宅へ出張撮影に伺いました!結婚式のときと合わせてお2人のお宅へ伺うのは実は3回目でした。)

本日のテーマは「編集」について


さて、前回のブログの末尾に予告しましたので、結婚式の当日撮影後の後日の仕上げについて書いてみたいと思います。
ただし、今回は前回取り上げたお客様の仕上がりの映像そのものをお見せすることができないこともありますので、ワークフローのご紹介に留めておきたいと思います。
仕上げ=編集の話、かなりコアな内容なので、今回は業者選びという視点ではあまり役に立たないかもしれません。

撮影終わってから、編集です。
撮ってだしの編集の場合は撮影=編集という感じなのですが、後日編集だと撮影×編集という感覚を個人的には持っています。

正直、一番楽しい作業です。
同時に一番苦しくもあります。

編集の流れ


まずは事前のインタビューや当日のスピーチを全て聴きます。
その言葉から何が伝えられるかを考えます。

台詞を継ぎはぎして、脚本を作っていくような感じで、スピーチやインタビューを並べ変えていきます。

次にその言葉で表現できる世界観にあった音楽を探します。

音源は主に以下のサイトから探してきます。
ソングフリーダム
ミュージックベッド
そこでピックアップした音楽と台詞を合わせていきます。
そこでまず気持ちよいサウンドトラック・構成を作ります。


ウェディングハイライトの副産物


次に、映像素材の整理をします。
ウチキフィルムでは5分の結婚式のハイライトを制作するのに必要な素材を90分くらい撮影しています。
その映像素材を見やすく、必要があれば並べ替えて、2台のカメラで撮影している部分はミックスして、音を聞き取りやすくして、60分くらいにまとめます。
これはこれで「Video Footage」として映像ファイルとして書き出します。
ハイライトのおまけとしてDVDとブルーレイに収録します。
その過程で当日撮影した全ての映像素材を見ます。
全てを見ることで、当日の進行の中で起きることの「外」にあるシーンや何か引っかかるカットを把握しておくことができます。

その後に、最初に作ったサウンドトラックに映像をあわせていきます。
概ね2日くらいで、なんとなく見られるモノが出来上がります。

タイトル


そこで映像に「タイトル」を決めます。
以前の記事で書いたように、そこで映像にテーマや方向性が明確になります。
そこからさらに細部をブラッシュアップしていきます。

ちなみに前回のブログで紹介した日比谷パレスで撮影させて頂いたお客様のタイトルは「家族になる日」としました。
ご新婦のお手紙で明かしたご自身の家族の成り立ちのお話と、家族が増えていくことへの率直な喜びの言葉が何より印象的だったのが一つの理由です。
そこに前撮りで同行したご入籍のシーン=家族になる瞬間が、私の中で重なりました。
ムービーの冒頭は入籍へ向かうタクシーの中の2人。
市役所が近づき、新郎が突然緊張し始めて、想いを口にし始めました。
そこから始めてみました。
そんな感じで制作させていただきました。


ワークフローに戻ります。


本当の完成は少し先です。映像から少し離れます。
その間に何をするかというと、寝ます。

これが実は一番大事なんじゃないかと思います。

お風呂、入って、寝て、ご飯食べて、電車乗ったり、テレビを見たり、お茶したり。
その間、なんとなく編集中の映像のことが頭にあります。
腕組みして考え続けるわけではないんですが、ただ頭の中にあります。
そんなふうにして、一日を過ごして寝ます。

寝ているときに、映像で気になっているところが明確になってきます。
気になる理由が言語化されていきます。
場合によってはその解決策まで思いつくことがあります。

解決策が出てこないときは、風呂につかるとかシャワーを浴びるとか、あと食器洗いなんかが有効です。
(経験上、水周りがいいみたいです。)

…ワークフローの中に「寝る」というのが入っているのがウチキフィルムです。
参考にしてみてください!(…ならないか)

ウチキフィルム 打木 健司
ウチキフィルムのホームページ

2016年3月1日火曜日

日比谷パレス 結婚式の披露宴の撮影について

すこしずつ暖かい日も増えてきましたね。
本日は3月1日。

2月の終わりに横浜のみなとみらいで、CP+というカメラ機材のイベントがありました。
もちろん僕も機材好きなので初日に行きました。

そこでの新商品のまとめはいろんな人がいろんなところで書いています。
僕のフェイスブックのタイムラインはそんな話ばかり流れてくるので、ここでは割愛。

CP+で僕が一番あっと思った瞬間は写真評論家の方が講演で話していたブレッソンの「決定的瞬間」の話。
それは自分の持っている「イメージ」と「現実」が重なった瞬間のこと。というお話でした。
やっぱり言葉の意味が書き換えられるお話を聞くと印象に残りますね。


さて、前回に引き続き1月に撮影させていただいたパーティーの撮影について書きたいと思います。

日比谷パレスでの結婚式

持ち込みでのウェディングパーティーの撮影について


披露宴を撮影するうえで、ビデオグラファーが常に意識している人物がいます。
それは会場キャプテンです。

会場キャプテンとは当日2人に付いて、新郎新婦に入場の段取りを説明したり、ケーキ入刀の段取りを説明したり、全体のスケジュールを管理して、周囲のスタッフに指示を与える役割の人です。
その人の動きさえ見ていれば、披露宴の進行が進むタイミングが分かります。
そうすることで、先回りして良いポジションに入ることが出来ます。
これはもう日本中どこの会場でも同じなので、「持ち込み」であっても日本中どこでも問題なく撮影することが出来ます。
だから、結婚式のビデオ撮影で最初に教えられるのは、キャプテンの動きを目で追うこと。
極論、新郎新婦やゲストの表情を無視して、キャプテンだけを見ていれば、プロとして安全に確実に披露宴を撮る事は出来ます。

でも、それはプロなら出来て当たり前。

そこから+αでどれだけのものをみつけられるか?
そのために大事なことは、どれだけイメージができているか?

たとえばゲストがこっそりと会社のみんなで寄せ書きをしていて、歓談の時間に2人にプレゼントしたり。
たとえばかわいらしい姪っ子、甥っ子がクレヨンで2人の顔を書いてきてくれてたり。
そういうのは進行表のどこにも書いてありません。2人も会場スタッフも知らないことです。

でも予兆は必ずある。
誰かが何かをしているから、その現象は起きている。

結婚式に関して言えば、良いビデオグラファーほど、披露宴会場の歓談中にキョロキョロしているという印象があります。
お子様の席に置いてあるおもちゃやお菓子のプレゼント、ご家族の席札の裏側のメッセージ、スピーチを控えた友人を冷やかしながらも励ます別の友人。
予兆は会場に、進行表の中に無数にあります。

まぁ、そんなわけで、せわしなく落ち着きなく、でもそれを表には出さず披露宴を撮っていきます。


一つの言葉、一つのしぐさで、その後の撮影は変わる


その日のパーティーは良い意味でゲスト同士の距離が近い、とても温かな雰囲気のものでした。
進行は古い友人の方々も、お仕事先の方も、ご親族も登場してくる構成になっていて、お2人のお気遣いが感じられるものでした。

そんな中でも、新婦の手紙が感動的でした。
いつも感動しますが、今回は格別でした。

お手紙の中で、
「お母さんとお父さんが結婚して、妹が生まれて、妹が結婚して、姪っ子が生まれて、私にも守ってくれる人が出来て、家族が増えていくことは幸せなことですね」
という一文がありました。

とても素直に結婚というものを捉えた言葉だなと思いました。
この言葉をしっかりと映像で表現できればいいな、と撮影中から考えていました。
お見送りが終わってからも、新婦のお母様にお2人へのメッセージをいただいたりしました。
そこでお母様が胸に秘めていた、新婦へ伝えたかったことを伝えて頂きました。

「撮影はいきもの」

ひとつの言葉、ひとつの状況に反応して、そこからどんなストーリーを描けるか?
その言葉や感情を形にするのに、どんな映像が必要か?言葉が必要か?

理想は言葉だけじゃなく、目で見て伝わるような象徴的な画が閃くことです。
見ればテーマが分かるような。
閃いて、それを演出して、撮れるビデオグラファーになりたいと思います。

でも、それを演出じゃなく、自然な流れの中で構図を作って撮れたら…。

「決定的瞬間」
イメージと現実が重なる瞬間。
撮りたいなぁと思います。


完璧な撮影はない


こんなことは書くべきではないのかもしれませんが、結婚式を撮影していると、もっとこうすれば良かった、こういう風に出来れば良かったと思うことばかりです。
あの時、目に映ったものがしっかりと撮れてたら、こんなストーリーを表現できたのに。
後から考えたら、この時フォーカスが手前じゃなく、奥にあってれば凄く深い表現なのに!とか。

それでも、自分がこの結婚式の撮る事に意味がある。と信じてその場にいます。

初めて新婦にお会いしたお打ち合わせの際に「すごい探して見つけました!」といわれました。
(この言葉は、最近結構な割合で言われます。)
結婚式の映像を撮影する業者はたくさんあります。
その中でもすごく探して見つけてきてくれたことにできるかぎり応えたいと思います。
だって、そこにはビデオの業者をすごい探して、映像で残しておきたいだけの素晴らしい結婚式・披露宴があるはずだから。

3月、ようやく結婚式の季節。
頑張ろうと思います。

編集のことまで書ききれなかったので、それはまた次回!


ウチキフィルム 打木 健司
ウチキフィルムのホームページはこちらから↑

映画の中の結婚式について

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