2018年12月31日月曜日

映画の中の結婚式について

12月31日。
大晦日。
仕事柄、秋は忙しく日々が過ぎ去っていくので、10月くらいには夫婦で『正月が楽しみだねー』なんて話をしています。
大晦日の夜から元旦とおせちを作って食べて、お酒をのんで、雑煮を食べてという毎年のお正月は、夫婦にとって大切なひと時です。

お正月の特番や少し前ならこの時期はレンタルビデオ屋さんに行って、見逃した映画なんかを借りてきてという過ごし方をしていました。
今年は多分アマゾンプライム!
本当に便利ですね。

いつも実際のウェディングの話ばかりを書いていますが、今回はちょっとゆるく映画の話でも。

『男はつらいよ』


劇中に結婚式が出てくる映画というのは少なくないです。
今年ボクシングの話でテーマソングがテレビで多用された『ゴッドファーザー』のオープニングだったり。
All you need is love が印象的に使われた『ラブアクチュアリー』や『アバウトタイム』の雨の結婚式など。
きっと、それぞれに思い出せるシーンがあるのかなと思います。

映画の中で僕が好きな結婚式のシーンが登場する映画は『男はつらいよ』の第一作です。
そう、おなじみ寅さん。です。
僕自身も全然リアルタイムでは見てないし、これから結婚する年代の人にはもうおなじみの映画でもないのかな。
昔はお正月映画といえば寅さん=男はつらいよでした。
シリーズものです。
ざっくり言うと毎回、寅さんというユニークなキャラクターが出会う人に影響を及ぼして、誰かが幸福になったりするという話です。
基本的に寅さんはなにも変わりません。
二言目にはクソとか屁とか言い出す、下品で共感しにくいキャラクターです。

第一作は主人公の寅さんが20年ぶりに故郷に帰り、生き別れの妹と再会して、妹の縁談をぶち壊すことから始まります。
そんなわけで、第一作の物語の中心は妹の結婚です。

物語のクライマックスはもちろん結婚式のシーンです。
昭和の日本の結婚式。
新郎新婦の両隣には媒酌人がいて、金屏風の前で集合写真を撮って、公民館のホールのようなところで披露宴をする。
素敵ではないけど、結婚式の仕事をしている人間にはとっても興味深い描写です。

そのシークエンスの中で、新郎の父として志村喬が出てきます。
志村喬と言っても多分、分からない人のほうが多いとは思います。
黒澤明の代表作ともいえる『七人の侍』や『生きる』の主演俳優です。
そんな人が突然出てきます。
それも便秘のような難しい顔をして出てきます。

あいつはなんなんだ?という雰囲気の中、新郎の父として披露宴の結びのスピーチをします。
※昔は本人たちは話さずに両親の挨拶で結びとするのが一般的でした。
そのスピーチが、まぁ泣ける。

本当いきなり出てきた人で、ほぼ設定しかわからない人。
それもなんとなく展開も分かる状況で、話す。
ただそれだけのシーンなんですが、親の愛情というものについて考えさせられるとても好きなシーンです。
今、その一作目がアマゾンプライムで見られるので、ぜひお正月にお酒でも飲みながら見て欲しいです!


2018年の終わりに。


そんなわけで今年も終わります。
夫婦でご馳走食べて、酒飲んで紅白を見ながらうたた寝して年を越せることを幸福に思います。
来る年もさらに成長できるように頑張っていきたいと思います。

今年ご注文いただいた皆様、仕事で関わってくれた皆様、一緒にお酒を飲んでくれた皆様に感謝しています。
来年もどうぞよろしくお願い致します。

また今年はウチキフィルム的ベビーブームでした。
結婚式を担当させていただいたカップルのかわいい赤ちゃんが見られて、とても嬉しかったです。
こんな風にウチキフィルムが続けられたらいいなと思います。

それでは皆様、よいお年をお迎えください。

ウチキフィルム 打木 健司

ウチキフィルムのホームページはこちらから↑


2018年12月25日火曜日

結婚式の記録映像と音楽著作権について

12月25日。
クリスマスですね。
いよいよ年末という感じになってきました。

前回予告したので、今回は結婚式の記録映像と音楽著作権について書いていきたいと思います。
前回の記事はこちらです。
・プロフィールムービーを持ち込むときの音楽著作権について


記録ビデオにおける音楽著作権問題


僕が結婚式のビデオの業界に入ったときに、結婚式のビデオといえば当日の記録ビデオ(2時間くらいもの)とプロフィールムービーのどちらかでした。
それからかれこれ12年くらい。
いろんな変化がありました。

大きな出来事は
・撮ってだしエンドロールの定番化
・一眼ムービーの登場
の2つかなと思います。

この二つは旧来の結婚式の記録ビデオのあり方やビデオグラファーに求められるものを変えました。
当日の2時間くらいの尺の記録ビデオも以前として販売を続けられましたが、結婚式のビデオのひとつという扱いに変わっていきました。
いまでは記録ビデオを撮影したことのないウェディングビデオグラファーなんていう人達もたくさんいます。

そんな状況のなか、ここ数年、記録ビデオにさらに大きな問題が起きました。
それが音楽著作権問題です。
ジャスラックが結婚式での音楽使用について立場を明確にしたことで、記録ビデオはかなり微妙な存在へ追いやられつつあります。
具体的には、結婚式のシーンで音楽が演奏されている場面を撮影した映像を販売する際にも音楽著作権の処理が必要になるというジャスラックの見解が示されました。
演奏とは生演奏や歌唱ということだけでなく、BGMとしてCDを再生することも演奏と言います。

そのことで、記録ビデオの業者は選択を迫られることになりました。
・音楽の演奏されているシーンは音声をミュートしてフリー音源に差し替える。
もしくは、
・アイサムに登録されている音源に限り収録し、著作権の処理のために費用を新郎新婦に負担してもらう。

ただでさえ、高額という印象のあった結婚式のビデオの価格を権利処理のために上げるというのは現実的ではなく、多くは音源の差し替えという処理をすることになりました。
ウチキフィルムでも映像素材を納品する際は音声の差し替えの処理をしています。

今まで当然にあったサービスの内容は、新郎新婦のニーズなどに関係なく変更を迫られました。
このことは記録ビデオから婚礼ビデオ業界に入った僕にはショックなできごとでした。



記録ビデオと音楽


記録ビデオが欲しいと思う場合はどんなときか?
もちろん色々理由はあると思います。

その中には、ご披露宴の中の余興をしっかりと残しておきたいということもあると思います。
余興では音楽が使われることは非常に多いです。
中でもダンスや歌は花形です。
まさにビデオでこそ残したいシーンだと思います。
なぜなら、そこには写真では残せない『音』が残るからです。

逆に言えば、これらのシーンが残せない記録ビデオは商品としてかなり苦しいです。
音楽著作権の問題は、まさにこのシーンを直撃しています。

アイサムの登録楽曲であれば、お金を払って権利処理をすることで解決することはできます。
ただし、そうでない場合はジャスラックに直接問い合わせることになります。
もちろん問い合わせたところで権利処理が出来ないものや、海外の楽曲では非常に高額な費用が発生する場合もあります。
そういった曲は実質的には記録ビデオに収録するのは難しい状況にあります。

とはいえ、たとえば余興で使う曲はアイサムの登録楽曲の中からわざわざ調べて選んでくるご友人というのはいないと思います。
中には、サプライズで急に洋楽を歌いだす人もいたりするので、そういう場合は業者としてはもうお手上げです。

そういった『余興を映像で全部を残したいなら、ご親族や友人に頼んで撮ってもらってください』という非常に奇妙な状況が現実としてあります。



映像で記録する立場で感じる問題点


①新郎新婦が『いつ』そのことを知るのか?
新郎新婦はいつ、プロが撮影する映像に自分で選曲したBGMが入らないことを知るのでしょうか?
また、余興で演奏したり流したりする音楽がプロのビデオグラファーには収録できないことを知るのでしょうか?

ウチキフィルムにお問い合わせいただき、打ち合わせをしたときに初めて知るというカップルもいます。
お問い合わせ後すぐに打ち合わせをすることのですが、早い人だと半年前とかですが、間際のお問い合わせだと挙式1ヶ月前という場合もあります。

会場でも、実はビデオの商品の説明のときに始めて聞かされるということがあるようです。
実際にずっと見積もりに記録ビデオが入っていて挙式の1ヶ月前に会場で説明を受けて、『それなら記録ビデオはいらない』となって、それでも素敵な映像は残したいということでウチキフィルムにご連絡をいただくということがありました。

もちろんすべてのカップルが結婚式のビデオを残したいわけではないので、会場の契約や結婚式の準備の始めに伝えるのも難しいとは思います。
それでも色々準備して、音楽も選んで、余興の演奏も頼んで、だんだん記録を映像で残したくなったタイミングで聞かされるのもどうかと思います。
『それ、早く言ってよ』って思う人もいるんじゃないかと思います。

持ち込み料の話もそうですが、結婚式場は後だしの説明が多くて不親切という印象を強く持ってしまう要因の一つになるんじゃないかと思います。



②ウェディング現場の他業種との関係性について
結婚式で音楽著作権に関わる人は、
・会場
・音響担当
・司式担当
・映像制作会社
です。

結婚式の音楽利用に関してはほとんど『演奏』に関することが多いです。
演奏に関して言えば、会場がジャスラックと包括契約さえしていればOKという感じで理解されています。

基本的に自由に選曲しています。
実際の施行にはそれほど影響をしていません。

その中で映像の記録は『演奏』とは違い『複製』に関するものなので、著作権や著作隣接権が有効な音楽を記録・収録する場合は別途個別に権利を処理しなければなりません。
ただそのことを気にしているのは実質、ビデオの業者だけだなぁと感じることは多々あります。

たとえば、司式担当の業者さん。
人前式ではあたりまえに著作権の活きた曲をBGMとして使うことが多いです。
時には誓いの言葉や大切な人からメッセージをもらう時すら演奏を続ける演奏者もいます。

最近では教会式ですら、著作権の活きた曲を演奏します。
多いのは、
Far away
You raise me up
The rose
Time to say goodbye
などなど。
挙式の荘厳な雰囲気の演出に良いと思います。
でも会場でも記録ビデオを売っているのだからわざわざ収録にお金が掛かる曲を使用して、記録ビデオの価値を下げる必要があるのだろうか?という疑問が単純に沸いてきます。
まぁ、単純に考慮をしていないというだけだというか、業者間のコミュニケーションの問題があると思います。

たとえばこのようなことがウェディングの現場では存在しています。
これは他の業者さんが悪いというお話ではなく、結婚式の映像をプロが記録する価値というのをもう少し広めて、認められていかないといけないんだろうなということだと思っています。
多分ビデオの業者も他の業者さんからしたら、『何で?』っていうことがたくさんあると思います。



最後に。


ぜひ分かって欲しいのは、だれも好き好んで、当日に流れている音楽を消したいわけではありません。
僕に関して言えば、自分の仕事の中で一番嫌いな作業です。

僕自身は結婚式の映像の根源的な価値は『記録』であると考えています。
ルールが変わり、ありのままではないけれど、それでもカップルが映像を見て、結婚式当日の感情や記憶をよみがえらせてくれるなら、それは立派な『記録』なんじゃないかなと思います。
だからこそ、僕の仕事には価値があると信じています。
2人にとって幸福な時間の記録が残ることがこれからの人生を支えるような根っこのようなものになって欲しい。

本当はそのまま納品したい。
でも、そうするにはあまりにも課題や負担が多い。

それでも出来るだけカップルの想いに寄り添って、ずっとその2人にとって価値のある映像を作っていきたいと思います。
よろしくお願い致します!

ウチキフィルム 打木 健司

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2018年12月14日金曜日

プロフィールムービーを持ち込むときの音楽著作権について

12月14日。
年末、テレビをつけると歌番組が多い季節です。
みんなが知っている曲って今は少ないですが、それでも音楽でその年だったりを感じることができます。

結婚式にも音楽は不可欠。
会場がひとつになる瞬間はいつでも音楽が流れています。

今年はプロフィールムービーやオープニングムービーの制作だけというご依頼も多かったです。
ムービーの前撮り自体の認知度が上がってきたように感じます。
そんなときもまずはお打ち合わせをさせていただきます。
その中で、『どんな曲を使うか?』という話になります。
今年は『会場からは持ち込みなら何でも良いですよって言われました』という話を伺うことが多かったです。
アイサムに話を聞きにいったりしている人間としては、その会場から新郎新婦への説明はかなりモヤモヤする話でした。
そんなわけで今年こんなことあったシリーズ第4弾は音楽著作権について書いてみます。


著作権問題はみんなが気になっている!


今まで結婚式に関すること、撮影に関すること色々とブログを書いていますが、どうやらいまだに何年か前に書いたこちらの記事が一番読まれているようです。

・ミスチルと結婚式

なんだかダントツです。
それだけ音楽著作権の話は需要があるようです。

アイサムが出来て、結婚式における音楽利用について周知し始めても、2年くらいは業界全体でルール自体が徹底されてはいませんでした。
会話をしていても『そんなに気にしなくていいんじゃない?』という人も多かったです。
潮目が明らかに変わったのは、2017年にジャスラックがあるビデオ制作会社を訴えてからです。
訴え自体は和解となったので、結局のところ裁判例・判例は残りませんでした。

なので、そもそも結婚式で音楽を流すことが公衆に音楽を聞かせて入場料(ご祝儀)を得ていることになるのか?とか
そもそも結婚式で流している音楽が撮影している映像に入り込んでくることが映り込みではないのか?とか
そういう、そもそもの話に明確な答えは出ていません。

それでも、『無視をすれば訴えられる』ということはみんなが理解しました。
裁判例がない以上は、当面ジャスラックの見解に従うということになると思います。
今は音楽著作権を無視して納品している業者さんはほとんどいないんじゃないかと思います。(実は結構いるかもしれませんが、名乗り出たりはしないと思います。)
少なくとも結婚式の映像制作に長く関わりたいと思うなら、守るべきルールということは間違いないです。
ウチキフィルムでも音楽著作権の権利処理が出来る楽曲での映像制作をしています。



『持ち込みなら何でも良い』とはどうことか?


もちろん、法律の専門家ではないので、今年の8月に行ったアイサムのセミナーなどで得た知識を元に書いてみます。
基本的に音楽著作権は、作り手の権利だから守ろうというスタンスで考えています。
もし違うんじゃないかということがあれば教えていただきたいです。

結婚式で映像を上映する場合、音楽著作権の権利処理が必要です。
権利処理を行うのは会場、映像制作会社、新郎新婦のうちの誰かがやれば良いということで決まりはないそうです。
音楽著作権と一口に言っても様々な権利が含まれています。
その中で結婚式DVDを上映するのに処理しなければならない権利は2つあります。

まずは『演奏』に関する権利。
プロフィールムービーなどのDVDの再生することは『演奏』にあたります。
こちらは多くのホテルや結婚式場でジャスラックと包括契約を結んでいるので、ほとんど場合で問題になりません。

もうひとつは『複製』に関する権利。
市販の音楽をDVDに収録することは、『複製』に関する権利を使用することになるそうです。
こちらは会場の包括契約の権利に含まれていまぜん。
なので、会場や映像制作会社が気にしているのは主にこっちの権利処理の問題です。
だからプロフィールムービーを会場で頼んだり、業者に頼むと使用できる楽曲が限定されるし、費用も掛かります。
アイサムを通して『複製』に関する権利を処理しているからです。

それではどうして『持ち込み』なら何でも良いのか?

一言で言えば『会場の責任』じゃないからです。
『演奏』に関してはクリアできているし、『複製』には関わっていません。
もし、そこで何か問題が生じても新郎新婦の責任であって、会場の責任ではありません。


本当は『何でも良い』わけではない。


新郎新婦がDVDを制作する場合でも『複製』に関して、誰かが権利を処理しないといけません。
『何でも良い』と『何もしなくても良い』は違います。
会場も映像制作会社も関わらずに新郎新婦が作るのなら、新郎新婦にその責任が生じます。
会場では何でも上映(『演奏』)はするけど、DVDを作るための『複製』の権利処理は自分でやってね、ということです。

おそらくですが、何も権利処理をしなくてもジャスラックが新郎新婦を個別に訴えるということはしないでしょう。
ただ著作権の侵害には、10年以下のかなり重い刑事罰が設定されています。
さらにTPPの絡みで今年2018年の12月30日以降は非親告罪になります。
非親告罪というのは、被害者が訴えなくても犯罪として公訴できる罪のことを言います。
著作権者(ジャスラック)の訴えとは関係なく、検察が自由に訴追できるようになります。
ジャスラックと同じで、おそらく検察が新郎新婦を訴追するということはないとは思います。
でも可能性がゼロでもありません。

そこまで説明しないで、『何でも良いですよ(自己責任でね。)』というのは誠実じゃないんじゃないかなと思います。

僕自身は誠実でありたいし、結婚式を挙げる人が変なリスクを負うようなことになって欲しくないと思っています。
僕自身も当然ですが、懲役刑のあるルール違反はしたくありません。
音楽も好きなので、著作権という作り手の権利も出来る限り尊重したいと思っています。

結婚式の音楽利用に関しては思うところがたくさんあります。
正直、よく分かっていないこともあります。
結婚式のビデオに関わる人間は特にそれぞれに思うことがあると思うし、ぜひみんなが発信してほしいなと思います。

次回も結婚式の映像と音楽著作権について書いてみたいと思います。
おもに当日の映像記録について。
あんまり触らないほうがいいのかも知れませんが、どっちかというと『記録』のほうが問題は深いです。

どうぞよろしくお願い致します!



ウチキフィルム 打木 健司

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2018年12月11日火曜日

ウチキフィルムのロゴの制作を通して感じたこと

12月11日。
年末年始に飲むワインの注文をしたり、年賀状の写真を選んだり、ちょっと楽しい時期になってきました。
もちろん編集も猛烈にしております!
年末やお正月に家族で結婚式や七五三の話をして、楽しい時間を過ごしてくれたら嬉しいなと思います。

さて、今年のことは今年のうちに書いておくシリーズ第三弾です。

第一弾、第二弾はこちらより↓
・結婚式で大切なのはコミュニケーション!
・結婚式の撮影指示書について思うこと

今回は一旦、ウェディングの現場の話から離れて、今年初めて制作したウチキフィルムのロゴについて。

ウチキフィルムのロゴ




シンプルだけど、ずっと見ていられるデザインでとても気に入っています。
お客様にも褒めてもらえたり、いろいろ嬉しいです。


今回、デザイナーさんに依頼して制作していただきました。
コトホギデザインさんです。

妻が仕事関係で名刺交換したというつながりでしたが、ホームページを見て、とても素敵な仕事を多くされていたので、ぜひにとお願いしました。
ありがたいことにお忙しいところを快くお引き受けいただけました。

まずは打ち合わせをして、コンセプトをご提案いただいて、実制作という流れでした。

正直、具体的にこんな感じのものが欲しいというのは、ありませんでした。
ただ『自分達らしいロゴが欲しい』というリクエスト。
シンプルだけど、自分達の理念を表現していて、他にはないもの。
これって多分、めちゃくちゃ難しかったんじゃないかと思います。

こんな感じの嫌というのはひとつだけお伝えしました。
それは『カメラをモチーフにしたデザイン』
確かにカメラを使う撮影は大事な工程ではあるけど、いろいろある工程の中のひとつです。
その前後の打ち合わせやプランニング、編集も同じかそれ以上に大切にしています。
だから、カメラを自分達の象徴とすることには違和感を感じます。
もちろん、多くの同業他社がカメラをモチーフにしているからというのも大きな理由です。


で、まずご提案いただいたコンセプトはこちら↓

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『重なり』

“U”
私(Uchiki)と、あなた(U=you)。
その重なったさま。

心を重ねる。その豊かさまでも映す(写す)ため。
視覚を重ねる。より広く深く、あざやかに。

かけがえのない瞬間、色とりどりの輝きを、いつまでも。
美しい記録は、美しい記憶となるから。

そうして、あなたがいつでもみずみずしく、
愛しい思い出をよみがえらせることができますように。

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コンセプトを見たときにすごく感動しました。
すこし話をしただけで、ちゃんと分析して求めるものを提示していただけました。
プロってすごいなと思いながら、話を進めていくことが出来ました。

そのあとは実際にいくつかパターンをもらって、あれこれ言わせてもらって、という感じでした。
普段はお客様にプロとしての仕事を提供する側だから、時々こうしてプロの仕事をされる側になると、本当に勉強になります。



プロのクリエイターに仕事を依頼するということ



普段の生活でクリエイターに自分のための何かを依頼するということは、あんまりない機会です。
広告やファッション系のお仕事をされている場合は別かもですが、創造的作業というのに触れる機会ってあまりありません。

カップルが結婚式のムービーをビデオグラファーに頼むのはどういう感覚だろうか?
僕の仕事でいつも考えて、想像し続けないといけないテーマです。
そこにどんな願いがあるのか?どんな不安があるのか?
でも、必ず期待があるはずです。

ほとんどの人は自分や大切な人たちについての映像をプロに撮られるという経験をしたことはないと思います。
経験のない中、色々調べて、『コレだ』というものを見つけて、問い合わせをしてくれる。
会場提携ではなく、自分の意志で選んでくれている。
期待されてないわけがない。

今回、プロのデザイナーさんにロゴを作ってもらって良かったことは、そういう気持ちを想像するための手がかりを経験できたことです。
自分のために、実際にクリエイティブな仕事をしてもらえることの喜びも感じることができました。
自分のブランドのことがもっと好きになりました。


結婚式はこの感覚を一気に味わえる機会です。
イベントのプランニング、ドレス選び、ペーパーアイテムのデザイン、ヘアメイク、会場装飾、写真、ムービーなどなど。
準備の仕方によりますが、それぞれにプロがいて、ちゃんと人を選べば創造的な仕事をしてくれます。

日常生活だけで十分に忙しいだろうし、クリエイターとの共同作業という慣れないタスクはかなり大変だろうとも思います。
すべてにこだわってる時間はないかもしれません。
実際にできることをやれる範囲ですれば良い。

その中にムービーを入れてもらえるというだけで、僕は嬉しいし、できる限りのことをしたいと思っています。

多分、人生のたった一日について一本の映像で人生が現実的に大きく変わることはないのかもしれません。
わかりやすく言えば、自分でも映像が作りたくなって、YouTuberになって、自己実現できて、お金ももうかるみたいなことはありません。

ただ、自分や大切なひとのことをもっと好きになって、もっと大切にすることができるようになれば良いなと思います。
それだけで多分、人生はすこし豊かになるだろうし、喜びも増えるんじゃないかと考えています。


ロゴを作って思ったこと


最初、ロゴは看板のようなものと思っていました。
『まぁ、ないよりあったほうが分かりやすいし良いよね』くらいのもの。
それでも実際作ってみて、ホームページのリニューアル作業をしてみて、もっと身近な存在で、一緒にがんばってくれる仲間が増えたみたいな気持ちです。
DVDなど納品物にはめ込んでみても、「良い仕事してくれてるなぁ」という感じです。

ちなみに、シンボル(上の部分)が日本タイポグラフィ年鑑2019というアワードに入選したそうです。
来年の春に入選作品がまとめられた書籍が発売されるとのこと。
少し先を越されたような、それでも自分のことのように嬉しいです。

これからもロゴに負けないように、頑張っていきたいと思っています。
どうぞよろしくお願い致します。

ウチキフィルム 打木 健司

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2018年12月10日月曜日

結婚式の撮影指示書について思うこと

12月10日。
師走。
今年のことは今年のうちに書いておこうシリーズ、第2弾です。

つい先日、11月に結婚式を終えたカップルのご自宅で後撮りをしてきました。
そこで後撮りを終えた後に、お2人とお酒を飲んで楽しい時間を過ごしました。
お2人のことをさんざんインタビューで聞いた後だったので、逆質問コーナーのような感じでいろんなことを質問されました。

僕は10年くらい前は、結婚式の撮影はお金のための労働で、それ以外の時間はショートフィルムやミニシアター規模の映画の脚本を書いていました。
そんなときの話もしました。
脚本の勉強は専門学校でしましたが、学校で教わったというよりは独学で本を読むことが多かったです。
ハリウッドの脚本の教本をよく読んでいました。
『神話の法則』とか。

神話の法則
2002年に買った本なので、ボロボロです!

基本中の基本だから、だいたい古い映画を手本にしています。
なかでも良く出てきたのが、『オズの魔法使い』。
すごく古い映画で、今見るとそんなに面白い映画ではないかもしれません。
それでも女の子と案山子とブリキのきこりとライオンの物語は今に通じる普遍的な要素が詰まっています。

というのを話の枕に、今回は『撮影指示書』について書いてみます。


『撮影指示書』


『撮影指示書』とは、こんな写真を撮ってくださいという要望を、実際の具体的な写真と一緒に伝えるペーパーです。
インスタのタグでも見かけるワードです。
10年くらい前はゼクシィの切り抜きを持ってくる人は結構特殊な人でしたが、いまや指示書を持ってくるのは普通の光景らしいです。
フォトグラファーがA4の紙に何枚もプリントアウトした『指示書』とにらめっこしているのをよく目にします。

すごく印象に残っているシーンがあります。
それはロケーション撮影で、プリントを見て1カット撮るたびに新婦に確認をするフォトグラファーの姿です。
持ち込みNGの会場で、指名も出来ない会場提携のフォトグラファーというのであれば理解も出来るのですが、彼は数多いるフォトグラファーの中から選ばれた持ち込みカメラマンでした。
一生懸命撮影している姿はとても素晴らしいけど、なんだかぎゅっと苦しくなる時間でした。

新郎新婦はどっちかと言うと、クリエイティブな話に理解がある、すごく良い人。
実際、ムービーに関しては僕は好きなようにやらせてもらいました。

『どうしてこんなことになっているんだろう?』と、現場でモヤモヤしたのですごく覚えています。

他にも和装での挙式なのに、当日渡された指示書にはウェディングドレスで撮られた写真があり、『意味がわからない』と困っている会場提携のカメラマンと一緒に撮影することもありました。



撮影指示書をめぐる問題。


撮影指示書が一般的になったのは、そもそもは会場提携の業者では『カメラマンが選べない』『カメラマンと事前に打ち合わせができない』、その上、『持ち込みNGで好きなカメラマンも呼べない』という状況での自衛策という意味合いが強かったと思います。
それ自体は当然の想いだと思いますし、合理的で失敗のない方法です。
最初は本当に結婚式の思い入れが強い花嫁が作るものというイメージでした。

それがブログやインスタで、マストで用意したほうが良いものとして広がったものなんだろうと思います。
今はとりあえず『インスタのお気に入りを寄せ集めて作ってみた』というものが多いのかなと印象です。

良い面は
・カメラマンも欲しいカットがわかるので、後からこんな画が欲しかったという事態は避けられます。

良くない面は
・指示されたカットを撮ることが優先順位の先頭に来くるので、カメラマンがこの2人をどんな風に撮ろうか?という部分を考えなくなります。
結果的に撮影そのものが作業的になりがち。

・現実的なタイムテーブルの中で撮影するには無理がある場合も多々あり、カメラマンへの負担が大きい。

現場では困惑のほうが大きいかなと感じています。
今のところ、『指示書』を手にしてため息をついているカメラマンに会った事はありますが、『指示書』大好き!というカメラマンには会ったことはありません。
『撮影指示書』って名前が、クリエイティブな空気を殺してしまう名前で悲しいなと個人的には思います。
どんな仕事であれ、関係性であれ、一方的に書面で『指示』されるのは、あまり気持ちの良いものではありません。

本当はまず、『打ち合わせ』があるべきだと思います。
打ち合わせのための資料という意味であれば、『指示書』のようなものがあっても良いと思います。
あくまでもヒント。

打ち合わせをして、どうしてこのカットが欲しいのか?という2人の思いを知れば、カメラマンも『じゃあ、実際にはどう撮ろう?』とか『こうやって撮ったほうがいいんじゃないか?』と考えることができます。
カップルにとっても、自分にとって何が大切か?を考える機会になるんじゃないかと思います。
そうやって一緒にイメージを作っていくことで初めて信頼関係が生まれて、2人とカメラマンの作品になるんじゃないかなと思います。

綺麗ごとなんだろうとは思います。
そんなことが出来てたら、『指示書』なんてものがこんなに広まっていません。
現実には当日まで誰が撮影するかもわからず、打ち合わせもない。
撮影会社も現場撮っているカメラマンの『打ち合わせ』なんてやってられない。
提携と言っても実際には外注のカメラマンばかりだから、できれば当日まで会わせたくないし、スケジュール的にも難しい。

そんな現実ですが、それでも本当にまずは人と人との信頼関係を作ること、それが最初だと思いたいです。



ウチキフィルムでもお問い合わせいただきます・・・


実は他人ごとではなくて、今年の春、数年ぶりに『こんなオープニングムービーを作ってください!』と他社のサンプルのURLが貼られたメールが来て困惑したことがありました。
困惑した結果、『その映像が作りたかったら、その業者に頼んだほうがいいかも』ということをオブラートに包んで返信しました。

もちろん、それでもウチキフィルムに頼みたいという理由があれば、お受けします。
多分、他社のコピーはしません。

率直に思うことは『あなた』の結婚式で他の誰かの真似をしてどうするの?ということです。
ゼクシィの広告だったり、何かの映画だったらまだ分かるのですが、会ったこともない赤の他人の結婚式の映像をコピーしてどうするんだろう?
2人の個性、美しさ、すばらしさは『あなた』の中にしかないはずなんです。
高いお金を払って、誰かみたいな写真を撮って、誰かみたいな映像を作って、誰かみたいな結婚式を挙げるなんて『もったいない』と感じてしまいます。

インスタもピンタレストもユーチューブももちろん参考になるし、便利なツールです。
でも、そこにあるのは誰かの結婚式。
『あなた』の結婚式ではありません。
まずは自分たちの引き出しの中を探してみてほしいなと思います。

ウチキフィルムで結婚式の当日やオープニングムービーをご注文頂いた場合は、まずお2人のことを聞きます。
そのために直接会ってお話をします。
テンプレートがあれば、お互いに楽というのはあるとは思いますが、それでは『僕』がその『2人』を撮る意味はないなと思ってしまいます。

大事なのは2人がどんな人、どんな風に出会って結婚して、どんな人生を過ごしたいか?
当たり前だけどみんな違う。
だから、結婚式の撮影は面白いし、やりがいのある仕事だと思っています。


本当に欲しいものは・・・


結婚式は本来、自分自身に向かいあう、とても貴重で大切な機会だと考えています。
自分自身の人生の表現の場。
振り返って、感謝を表す場。

冒頭で触れた『オズの魔法使い』で冒険の末に、主人公が最後に気づくことがあります。
それは『本当に欲しいものはうちの裏庭より遠いところにはない』ということです。

大切なものはもうすでに2人の中にあって、それを表現するのが僕たち結婚式に関わる人の仕事だと考えています。
2人の引き出しや裏庭を見て、本当に創造的な仕事をすること。
結婚式のプランナーやフローリスト、フォトグラファー、ビデオグラファー、みんながそういう仕事ができる業界になること願っています。


ウチキフィルムでは現在2019年のご予約を受け付けています!
ぜひお気軽にお問い合わせください。

ウチキフィルム 打木 健司
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2018年12月7日金曜日

結婚式で大切なのはコミュニケーション!

12月7日。
もう年末ですね。
今年はあまりブログを書けていませんでした。
昨年40弱の記事を書いていましたが、今年はまだ20ちょっと。
年末もせわしく仕事をしていますが、今年思ったこと、今年出くわしたことはなるべく今年のうちに書いていきます。
これから年内は『こんなことあったよー』という短い記事が多くなりますので、いつもの記事よりは読みやすいはずです!

言いたいことは言ったほうが良い。


今年の秋に担当させていただいた結婚式の話。
結婚式当日も一眼レフを持参するほど写真を撮るのが好きな2人。
お打ち合わせでもご披露宴のメインテーブルにも一眼レフカメラを置いておこうというお話をしてくれました。

会場は当日にたっぷりとロケーション撮影の時間があるホテルでした。
年に3回くらい持ち込みで入る会場で、そのときは持ち込みのフォトグラファーさんと一緒になることが多い会場です。
それだけ写真にこだわれる会場でもあります。
今回のお2人は会場の写真室に頼んでいるとのことでした。

ムービーの打ち合わせでも、どの辺りを撮りたいとかありますか?ということをお聞きしました。
ロケーション撮影は基本的にはフォトグラファーさんの時間ですが、知っておきたいと思っています。
新郎新婦が『その会場のなにが好きなのか?』が分かるからです。
それは撮影や編集にもフィードバックできる要素です。

お2人の場合は特に『ココ』という場所はなかったみたいです。
『会場のカメラマンとは打ち合わせも出来ないし、あんまり考えてなかった』ということでした。
『プロだから、まぁ大丈夫かなと思ってて』とのこと。
こういうとき、どうしてもちょっとお節介なことを言ってしまうことがあります。
『もしこんな写真がいいなっていうのがあって、カメラマンと打ち合わせできないなら、プランナーさんに伝えてみてもいいんじゃないですか?』
そういうことをお2人には提案してみました。

まぁ、その要望を伝えるプランナーさんもいれば伝えないプランナーさんもいます。
でも、誰にも何も言わないと、誰も何も知らないで当日が始まって、終わります。
どこで撮りたいか?どんな写真が好きか?
伝えた上で撮れない、撮れるが初めて判断できます。
メインテーブルに一眼レフを持ち込むほどの2人なら、こんな風に撮ってくれたら嬉しいというのは必ずあるはずだと思ったので、あえてそんな話をさせていただきました。

『プロだから大丈夫』というのは、カップルにも業者にも、お互いにとってとても怖い言葉です。
写真だけじゃないです。
お花も、司会も、もちろんムービーも。

それこそプロなら、要望を事前に知っていれば対応できることは多いです。
対応できないことは技術的なことよりは人員の数だったり、設備的なことだったり、なので納得できる説明があると思います。
進行表や2人の雰囲気を見て、こんな要望があるだろうなぁということを感じることもあります。
でもそれはある程度経験がもの言いますが、あくまで『勘』であり、ある種の『思い込み』です。
当たり外れは当然あります。
勘だけでカップルの思っていることを当てることが出来るのは、プロではなくただのエスパーです。
やり直しがきかない結婚式だからこそ、事前に打ち合わせをしたり要望をヒアリングすることはとても大切だと考えています。

そんなわけで、後日お2人は会場のほうへ「こんな写真がいいな」「こんな写真はいやだな」というのお伝えになったそうです。


当日に蓋を開けてみたら・・・


どのくらいのご要望を伝えたのかは分かりませんが、結果的には写真室のベテランカメラマンが事前に打ち合わせをしてくれて、当日も打ち合わせしたカメラマンが担当して、さらにセカンドカメラマンまで付いてきてました。
・・・過剰反応というか、多分、やりすぎ。笑!
お日柄もあるし、個別の経緯もあると思いますが、まずは言ってみることだなぁと思いました。

結婚式に対する思い入れの度合いは違うので、すべての結婚式に個別の担当者の打ち合わせが必要とは思いません。
ただこのブログを読んだり、ウチキフィルムに興味を持っていただけたカップルの場合は、結婚式に何かこだわりのある人たちがほとんどだと思います。

まずは自分の結婚式を担当してくれる人と話すことが大事です。
写真でも、お花でも、ムービーでも。
うまく言葉に出来ないことでも、まずはコミュニケーションの中から信頼関係が生まれます。
担当者も2人を知ることで初めて提案できることも多いはずです。
『どんなサービスか?』は大事ですが、『どんな人が関わるか?』はもっと大事です。
こんなことやりたいと思うこと、言うことは別にわがままでもなんでもありません。
ただのコミュニケーションです。

自分たちらしいと思える結婚式が世の中にもっと増えたら良いなと思うし、
そういう結婚式を撮影していきたいと願っています。

ウチキフィルムでは2019年春のお問い合わせを多く頂いています。
一日一組の対応となりますので、まずはスケジュールの確認をお願いします。


ウチキフィルム 打木 健司
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映画の中の結婚式について

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