2018年12月14日金曜日

プロフィールムービーを持ち込むときの音楽著作権について

12月14日。
年末、テレビをつけると歌番組が多い季節です。
みんなが知っている曲って今は少ないですが、それでも音楽でその年だったりを感じることができます。

結婚式にも音楽は不可欠。
会場がひとつになる瞬間はいつでも音楽が流れています。

今年はプロフィールムービーやオープニングムービーの制作だけというご依頼も多かったです。
ムービーの前撮り自体の認知度が上がってきたように感じます。
そんなときもまずはお打ち合わせをさせていただきます。
その中で、『どんな曲を使うか?』という話になります。
今年は『会場からは持ち込みなら何でも良いですよって言われました』という話を伺うことが多かったです。
アイサムに話を聞きにいったりしている人間としては、その会場から新郎新婦への説明はかなりモヤモヤする話でした。
そんなわけで今年こんなことあったシリーズ第4弾は音楽著作権について書いてみます。


著作権問題はみんなが気になっている!


今まで結婚式に関すること、撮影に関すること色々とブログを書いていますが、どうやらいまだに何年か前に書いたこちらの記事が一番読まれているようです。

・ミスチルと結婚式

なんだかダントツです。
それだけ音楽著作権の話は需要があるようです。

アイサムが出来て、結婚式における音楽利用について周知し始めても、2年くらいは業界全体でルール自体が徹底されてはいませんでした。
会話をしていても『そんなに気にしなくていいんじゃない?』という人も多かったです。
潮目が明らかに変わったのは、2017年にジャスラックがあるビデオ制作会社を訴えてからです。
訴え自体は和解となったので、結局のところ裁判例・判例は残りませんでした。

なので、そもそも結婚式で音楽を流すことが公衆に音楽を聞かせて入場料(ご祝儀)を得ていることになるのか?とか
そもそも結婚式で流している音楽が撮影している映像に入り込んでくることが映り込みではないのか?とか
そういう、そもそもの話に明確な答えは出ていません。

それでも、『無視をすれば訴えられる』ということはみんなが理解しました。
裁判例がない以上は、当面ジャスラックの見解に従うということになると思います。
今は音楽著作権を無視して納品している業者さんはほとんどいないんじゃないかと思います。(実は結構いるかもしれませんが、名乗り出たりはしないと思います。)
少なくとも結婚式の映像制作に長く関わりたいと思うなら、守るべきルールということは間違いないです。
ウチキフィルムでも音楽著作権の権利処理が出来る楽曲での映像制作をしています。



『持ち込みなら何でも良い』とはどうことか?


もちろん、法律の専門家ではないので、今年の8月に行ったアイサムのセミナーなどで得た知識を元に書いてみます。
基本的に音楽著作権は、作り手の権利だから守ろうというスタンスで考えています。
もし違うんじゃないかということがあれば教えていただきたいです。

結婚式で映像を上映する場合、音楽著作権の権利処理が必要です。
権利処理を行うのは会場、映像制作会社、新郎新婦のうちの誰かがやれば良いということで決まりはないそうです。
音楽著作権と一口に言っても様々な権利が含まれています。
その中で結婚式DVDを上映するのに処理しなければならない権利は2つあります。

まずは『演奏』に関する権利。
プロフィールムービーなどのDVDの再生することは『演奏』にあたります。
こちらは多くのホテルや結婚式場でジャスラックと包括契約を結んでいるので、ほとんど場合で問題になりません。

もうひとつは『複製』に関する権利。
市販の音楽をDVDに収録することは、『複製』に関する権利を使用することになるそうです。
こちらは会場の包括契約の権利に含まれていまぜん。
なので、会場や映像制作会社が気にしているのは主にこっちの権利処理の問題です。
だからプロフィールムービーを会場で頼んだり、業者に頼むと使用できる楽曲が限定されるし、費用も掛かります。
アイサムを通して『複製』に関する権利を処理しているからです。

それではどうして『持ち込み』なら何でも良いのか?

一言で言えば『会場の責任』じゃないからです。
『演奏』に関してはクリアできているし、『複製』には関わっていません。
もし、そこで何か問題が生じても新郎新婦の責任であって、会場の責任ではありません。


本当は『何でも良い』わけではない。


新郎新婦がDVDを制作する場合でも『複製』に関して、誰かが権利を処理しないといけません。
『何でも良い』と『何もしなくても良い』は違います。
会場も映像制作会社も関わらずに新郎新婦が作るのなら、新郎新婦にその責任が生じます。
会場では何でも上映(『演奏』)はするけど、DVDを作るための『複製』の権利処理は自分でやってね、ということです。

おそらくですが、何も権利処理をしなくてもジャスラックが新郎新婦を個別に訴えるということはしないでしょう。
ただ著作権の侵害には、10年以下のかなり重い刑事罰が設定されています。
さらにTPPの絡みで今年2018年の12月30日以降は非親告罪になります。
非親告罪というのは、被害者が訴えなくても犯罪として公訴できる罪のことを言います。
著作権者(ジャスラック)の訴えとは関係なく、検察が自由に訴追できるようになります。
ジャスラックと同じで、おそらく検察が新郎新婦を訴追するということはないとは思います。
でも可能性がゼロでもありません。

そこまで説明しないで、『何でも良いですよ(自己責任でね。)』というのは誠実じゃないんじゃないかなと思います。

僕自身は誠実でありたいし、結婚式を挙げる人が変なリスクを負うようなことになって欲しくないと思っています。
僕自身も当然ですが、懲役刑のあるルール違反はしたくありません。
音楽も好きなので、著作権という作り手の権利も出来る限り尊重したいと思っています。

結婚式の音楽利用に関しては思うところがたくさんあります。
正直、よく分かっていないこともあります。
結婚式のビデオに関わる人間は特にそれぞれに思うことがあると思うし、ぜひみんなが発信してほしいなと思います。

次回も結婚式の映像と音楽著作権について書いてみたいと思います。
おもに当日の映像記録について。
あんまり触らないほうがいいのかも知れませんが、どっちかというと『記録』のほうが問題は深いです。

どうぞよろしくお願い致します!



ウチキフィルム 打木 健司

ウチキフィルムのホームページはこちら↑


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