2016年2月9日火曜日

ウェディングムービーのタイトルについて

2月9日。横浜はいい天気です。
そろそろ冬の終わり=花粉の始まりです。
…がんばります。

2016年、どんな映像を作っていこうか?と考えるに当たって今の自分の考え方や方法論をまとめておきたいと思います。
これから書くことが、制作的な内容過ぎて結婚式ビデオ業者の選定にはあまり役にたたなかったらごめんなさい。
作り手の想いを少しだけ感じてくれると嬉しいです。


結婚式のムービーの名前。


ウチキフィルムでは結婚式の当日を全部撮影して、後日編集するプランをウェディングハイライトとして¥120,000(+税)でご案内しています。
5分のウェディングハイライトと撮った素材を見やすく60分くらいにまとめたものをDVDとブルーレイで納品しています。

ウェディングハイライトには、なるべくタイトルを入れるようにしています。

タイトル=題名。
ムービーの名前です。

以前、2014年くらいまでは撮影前にお客さまと打ち合わせをしたワードをそのまま採用してました。
でも、フリーランスになって自分のスタイルを追求する過程で、すこしずつ変わっていきました。
今はタイトルの意味を考えて、もう一度みるとムービー自体の印象が代わるような、そんなタイトルを付けることを心がけています。


一回捨てる。


もちろん打ち合わせ時に伺うテーマやコンセプトを意識して撮影・編集するのは正しいです。
最初に見えてるゴールに突き進んで、そのまま形にすることも方法論としては正しいと思います。
でも、それはドキュメンタリーではないし、結婚式のムービーじゃくてもいいなと思います。

多くの日本の結婚式は新郎新婦が掲げるテーマ以上に混沌としているし、多面的で、テーマをなぞって撮影・編集しても、全然足りてないんじゃないかと感じていました。
ウェディングムービーはもっと結婚式自体を表現すべきだし、2人のことを表現すべきだと思います。

だから、ほとんどの場合、当日の全部を撮った後に、最初に思っていたテーマは一回捨てます。
素材そのものにまず向かい合って、そこに最初に設定したテーマを超える何かを見つけたいと思っています。
そのよくわからない何かをまず形にしていきます。

そんな風にして映像を作っていくと、タイトルにはただのムービーや結婚式の名前という機能以上のパワーがあるんじゃないか?と思うようになりました。

タイトルの力。


タイトルを決めるのは、編集作業の後半です。
本当に最後のほうです。
その時にはムービー自体は見た目上、9割完成しています。
でも名前がない。
なんとも呼べないものです。
どうとでも解釈できるけど、でもなんか浅い。
なんとなく良い感じだし、なんとなく感動できる部分もあるし。
でも、何が言いたいのか良く分からない。
出来事が多いし、感情が多面的で複雑すぎる。
形はあるけど、意図が見えない。

そんないろんな感情の詰まったムービーにたった一つ言葉を加えることで、ひとつひとつのカットに違った意味や可能性が見えてきます。
そのことによって、使っていなかったカットがすごく重要な意味を持つことに気づいて採用したりします。
もちろんその逆もあります。
言葉の力で、ムービーに明確な論理が与えられて、自分で無意識に編んでいたものの実際の姿が分かってくる感覚が得られます。
自然と整ってくる。

それがタイトルの力だと分かってきました。

タイトルを考える上で注意しているのは、なるべく2つ以上の意味が重なるようにすること。
一つは当日のできごと、一つは2人のバックグラウンドにあるものが理想的です。


ウェディングハイライトの制作事例


①「恋の味 Taste of Love」


実際のウェディングハイライトの映像(8月2日撮影)

ウチキフィルムの結婚式のビデオの中の1カット



「恋の味」というタイトルは、パーティーの中で新郎が作ったソースがかかったデザートの感想を聞かれた新婦の言葉から来ました。
その響きが中学の頃に知り合った2人の関係性を象徴しているように感じました。
もうひとつは2人が一緒にいろんなレストランに行ったりするのが好きだという話を聞いていたので、2人に合った言葉だと感じました。
このキーワードを中心に編集を見直すと前撮りの素材の中にご飯やおやつを食べるシーンを見つけることが出来、それまでのカットと差し替えました。
生い立ちビデオの上映中にごく自然にデザートを新婦が新郎に食べさせるカットにも、『まさにこういうことだよね』っていう強い意味を見出せました。
「恋の味」という言葉とウェディングキスを続けてみせることで、儀式のキスにもしっかりと2人の温度みたいのを感じることが出来るんじゃないかと思いました。
前撮りや打ち合わせの段階では思いもしなかった、当日言った本人ですら深い意味を込めていない一言が、ピタッとはまることがあります。
このなんともいえない発見が時間を掛けて編集する上での醍醐味だと思います。


②「the love story after that night」


実際のウェディングハイライトの映像(10月12日撮影)

ウチキフィルムの結婚式のムービーの中の1カット


終電を乗り逃して、ファミレスで始発を待った夜から恋が始まったという2人の話を聞いて、その話にすごく親近感を感じました。
それはもうすごく単純な理由で、自分も似たような経験をしたからです。
まずそこにフォーカスした構成で編集しました。
でも、それだけでは結婚式のムービーである必要はありません。
これでいいのかと数日、なんとなくもやもやします。
でも、まずはそのエピソードにフォーカスするタイトルを考えてみました。
すると、そのタイトルに向かって、頭の中が整理され始めます。
結婚式当日、たくさんの素敵な出来事がありましたが、撮影していて、ウェディングキスの後の新婦のまばたきがとても印象的でした。
そのまばたきにより意味を持たせるにはどうすればいいかを考えました。
すると、前撮りの時に2人で迎え合わせに立って頂いたときに撮っていた、同じような新婦のまばたきを見つけました。
そこで映像の半ばで前撮りのまばたきと恋の始まりのエピソードを話す新婦の声を繋げました。
そうすることで「まばたき=ラブストーリーの始まり」という公式を編集上で作りました。
そして、ムービー自体のラストをウェディングキスの後のまばたきで終わらせました。
結婚式の後にまた2人の素敵なラブストーリーが始まるという意味です。
一つの映像の中に2つのラブストーリーの始まりが描きました。


もちろん、この2つの案件だけでなく、ウェディングハイライトを製作する際は毎回こんな感じで考えをめぐらせています。

結果的に毎回頭の中が大変です。
モノを作るというのはこういうことだと思っているので、仕方ない。
でも、楽しくて仕方ない。という気持ちもあります。

だから、ウチキフィルムの一押しはウェディングハイライトです。

春シーズンのお問い合わせもまだまだ受付中です!
お気軽にお問い合わせください。
どうぞ宜しくお願い致します。

ウチキフィルム 打木 健司
ウチキフィルムのホームページ

映画の中の結婚式について

12月31日。 大晦日。 仕事柄、秋は忙しく日々が過ぎ去っていくので、10月くらいには夫婦で『正月が楽しみだねー』なんて話をしています。 大晦日の夜から元旦とおせちを作って食べて、お酒をのんで、雑煮を食べてという毎年のお正月は、夫婦にとって大切なひと時です。 お正月の特...