このごろはもう夏のよう日差しがふりそそいでいますね。
今年前半は駆け抜けている感じがあります。
一組一組カップルと話をして、それをひとつひとつ形にしていく作業は本当に楽しいです。
たぶん、人と話すのが好きです。
いろいろと聞くことが好きです。
カップルとの打ち合わせでは、事前にお答えいただいたアンケートを元に2人のことをお聞きします。
それぞれのお仕事のお話や、ご家族の話。
出会ったときの話、付き合うまでの話、プロポーズの話。
当たり前だけど毎回違うストーリーがそこにはあります。
とても魅力的だし、時には感動もする。
それが僕が【結婚式を撮影する】という作業の大切な一部だと考えています。
『こんな風に誰かに自分たちのことを話したのは初めてでした!』
お打ち合わせの後にこんなメールをいただくこともあります。
【結婚式を撮影する】ということ
【結婚式を撮影する】というの言葉の中にはたくさんの深度があると思っています。
極論ですが、写真であれ、ビデオであれ、結婚式の当日にカメラさえ持って行けば【結婚式を撮影する】ことは出来ます。
プロとして【結婚式を撮影する】という場合でも、それは実は同じです。
ただ起きることだけを撮っている人がほとんどです。
撮影前にカップルのことを知る必要はあまりありません。
撮影会場のことを知っていて、進行表を持っていれば、【結婚式を撮影する】ことは出来ます。
来た球を打つみたいな感じで。
確かにそれでも大丈夫です。
結婚式はお互いの人生で付き合ってきた人々が一堂に会するイベントです。
優れたビデオグラファーが全身全霊で来た球を弾き返せば、結果的に2人の人生が凝縮したような十分に素敵な映像を作ることも出来るかもしれません。
『結婚式とは何か?』『結婚式とはこうあるべきだ!』という、そのカメラマン or 撮影会社の信念に基づいて【結婚式を撮影する】という場合もあります。
その場合もやはりカップルのことを知らなくて大丈夫です。
ある程度決まったカット割の通り、コンセプトを元に撮影して編集すれば、そのカメラマンや撮影会社が思い描く【結婚式を撮影する】ことが出来ます。
優れたビデオグラファーであれば意図した通りに感動的でキレイな映像も製作は可能でしょう。
実は結婚式の多くはそのように撮影されます。
結婚式の、特に式場提携のビデオカメラマンが商品説明や販売目的以外で打ち合わせをしないのは、(もちろん時間がない・人がいないということもありますが)個別にカップルのことを知らなくても、とりあえず結婚式の撮影は出来てしまうからです。
ウチキフィルムにとっての【結婚式を撮影する】ということ
このカップルにとって、この結婚式は何なのか?
それぞれどんな個人で、2人でいるとどんな感じなのか。
どんな風に出会って、どんなきっかけで距離が近づいて、どんなところがお互いにとって特別で、どうして結婚するのか?
結婚式を今どう捉えているのか?
どのような記憶として残しておきたいか?
ウチキフィルムはそろそろ3年になりますが、ずっとそんな風にやってきました。
そんなことは知らなくても、考えなくても良いのかもしれません。
ご自宅に上がり込んで撮影したり、初デートの場所を巡ったり、そんなことにどんな意味がある?と思われてるかもしれません。
効率という言葉を一番に考えるなら、完全に馬鹿げているのかもしれません。
でも、別にいいだろうと思います。
そういう深さでの【結婚式を撮影する】ということがあってもいいのかなと思っています。
だって、これは僕の人生で、僕の仕事だから。
当日を全力で撮るのはもちろんです。
それは当たり前の話。
編集も時間の許す限り頑張る。
それも当たり前の話。
本当のクオリティーは当日を迎える前にだいたい決まっている。
仕事っていうのはそういうものだと僕は思っています。
確かにビデオグラファー・カメラマンという仕事は【当日の閃き】、【動物的な勘】、あるいは【センス】や【才能】が決定的な意味を持つ時はあります。
ただそれらは、決して偶然降ってくるわけじゃない。
その閃きや勘は、事前に準備をすればするほど降ってくる確率が上がるものだと信じています。
具体的に言えば、2人と話すこと・2人の話を聞くこと・2人を知ること・2人にしかないものを感じること・そして目に見えるよりも深い部分を推測すること。
ビデオグラファーの質(クオリティー)というのは、実はそこで決まるんだと思って仕事をしています。
特別扱いはきっと悪いことじゃない
『こんな風に誰かに自分たちのことを話したのは初めてでした!』
というお話を聞き出すのは、ひょっとしたらプランナーさんの仕事なのかも、と思います。
本当はプランナーさんがそのように2人とお話をして、結婚式やパーティーの1日をちゃんとプランしていれば、ビデオグラファーやフォトグラファーはそれこそ来た球を打つ要領で撮影すれば良いのかもしれません。
でも、そういうことは極めてマレです。
多くの場合、プランナーさんの仕事は要望を整理して形にしていくことであって、カップルの中にある何かを掘り出してきて形を与えてみせるということではないからです。
だから、せめてウチキフィルムを見つけてお問い合わせいただいたお客様くらいは、と思っています。
世間一般の結婚式のビデオはどうとか、普通はどうとかそういうの関係なく、特別扱いをし続けたい。
いくらでも、それこそずるいくらいの『えこひいき』していきたい。
そして、本当の意味でカップルにとっての『特別な時間』として形に残していけたらいいなと思います。
ウチキフィルム 打木 健司
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